今回のお話はromi-unieの中でも一番ベーシックな定番のケイク「Quatre Quarts」カトル・カールについてご紹介します。
カトルカールはフランス語で「4分の1×4」の意味。砂糖と粉、バター、卵、4つの材料を同割でつくるところから、この名前がつきました。フランス菓子の基本中の基本で、材料を混ぜてオーブンで焼くだけというシンプルさから、フランスではお菓子屋さんだけでなく、家庭でも老若男女問わず、手づくりされています。
15年前に初めて焼菓子の店を開くとき、カトルカールは、家庭らしい安心感のある味にしたいと考えました。同割でつくるところから名前がついたお菓子ですが、実際のところ、つくる人によって配合はさまざま。軽くしたければ粉を少なめに、甘さを控えたい人はお砂糖を減らすなど、いかようにも調整できます。名前に忠実なカトルカールには意外に出合えないな、と感じていたので、店では同割でつくることにしました。そのほうが、イメージしていた家庭らしい味に近かったこともあります。
シンプルなお菓子なので、素材選びは大切です。小麦粉は口溶けを、バターは香りをポイントに吟味していますが、romi-unieでは東京のお店「Maison romi-unie」(アトリエ八雲も)と、鎌倉のお店「Romi-Unie Confiture」(Web Shopも)で、バター違いのカトルカールをつくっています。
東京のカトルカールは北海道の「ノースプレインファーム」のバターを選びました。何回も現地に見学に行っていますが、牛を自分たちでていねいに育てるところから取り組んでいる生産者さんで、とにかくやさしい味が特徴です。小規模でバターをつくっているところは本当に少なく、その価値をお菓子のなかでも感じていただけるよう仕立てています。
鎌倉のカトルカールは、店を移転するときに、焼菓子部門ができてからつくり始めました。当時もいまもバター不足で、メゾンと同じバターが使えなかったため、イギリスのジャージー島のジャージーバターを無塩と有塩を半々にして、塩味(えんみ)を効かせたカトルカールにしました。塩味がバターの香りを増幅させるので、よりバターを濃く感じると思います。
それぞれのカトルカールを引き立ててくれるのが、おいしい紅茶やミルクティ、カフェオレです。やさしい口溶けは、ほうじ茶や日本茶ともしっくりきます。どこか懐かしくて、ほっとする味わいは、永遠の定番です
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