今回のお話は年齢問わず一年を通して人気の、シンプルないちごジャム「Merci」メルシーについてご紹介します。
お店を始めたばかりのころ、シンプルないちごだけのジャムはつくっていませんでした。お客さまから「ふつうのいちごジャムはないですか?」と聞かれることが多いことに気づいて、途中からつくり始めたのが「メルシー」です。
贈り物として選ばれる方に、いちごジャムを希望されるお客さまが多かったので、感謝の気持ちを込めたネーミングにすると、思いも伝わりやすいのでは、とフランス語で「ありがとう」を意味する「メルシー」と名付けました。
最初はフレッシュのいちごが出回る季節だけおつくりしていたのですが、やっぱりいちごはジャム界のアイドルですね。リクエストがずっと続き、冷凍のいちごでもつくってみることになりました。国産の冷凍いちごを使うと、香りも味もフレッシュと遜色ないジャムができることがわかり、それからは農家さんに収穫したいちごを冷凍でキープしてもらって、フレッシュのない時期も安定して香りのいいジャムがつくれるようにしています。
最近、材料からレモン汁を外して、いちごとグラニュー糖だけのよりシンプルなレシピに変えました。レモンの風味がいちごの香りを邪魔していないか? このレモンは本当に必要かを自分に問い直してみたくなったのです。
いちごは酸味の少ない果物なので、味のポイントが定まりにくく、そこをレモン汁で補うのですが、いちごの香りだけのジャムにするには、思い切ってレモンを外すしかありません。いざレモンを手放してみると、少々、甘さは立ちますが、いちごがふくよかに香る、とてもチャーミングなジャムになりました。ずっと食べ続けてくださっている方は、「あれっ、変わった?」と思われたでしょうか。
最近わたしが提唱しているのは、サンドイッチ用のパンに、片面はいちごジャム、もう片面にはマスカルポーネチーズを塗ったジャムクリームサンド。シンプルでおいしいんです。
マスカルポーネは生クリームのように泡立てたり、クリームチーズみたいにやわらかく戻す手間がないので、ジャムの相棒として本当におすすめです。ミルキーな味わいをプラスしたいちごジャムは、「いちごと練乳」に匹敵する相性の良さがあるので、プレゼントにされる方は、ぜひ、この食べ方も一緒に贈ってみてください。
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