今回のお話はクリスマス菓子について。
クリスマスシーズン限定で登場する「Stollen(シュトーレン)」についてご紹介します。
ヨーロッパではクリスマスイブのおよそ4週間前から「アドベント」と呼ばれる特別な時間がはじまります。シュトーレンは、このアドベント期間に欠かせないドイツ生まれの発酵菓子。
フランスのアルザス地方はドイツ領だった時代があり、クリスマスにはシュトーレンを焼く習慣があるのです。幼子のイエス・キリストを包むおくるみ型でつくるのが一般的ですが、romi-unieではずっと、アルザス地方の代表的なクグロフ型で焼いています。
生地には軽めのスパイスとアーモンドスライスやピスタチオホール、レーズン、オレンジとレモンのコンフィなど、保存性の高いナッツやフルーツの仕込みものを加えて焼き上げます。そのあと、たっぷりのすましバターに数回浸して、バターの風味を生地にしみこませ、最後は粉砂糖をたっぷりすり込んで、雪の中から取り出したように真っ白に仕上げます。作ってすぐより、少し時間を置いてから食べるお菓子なので、romi-unieでは、まだクリスマスにはほど遠い7、8月ごろから仕込みが始まります。
カットすると、中にはナッツやフルーツと一緒に赤と緑のドレインチェリー、そして薄茶色の大きめの丸いかたまりが見えます。これはローマジパンで、アーモンドとシロップを合わせたペースト。どこをカットしても入るよう、型にぐるりとひと回り入れ、生地の中にも練り込んでいます。和菓子の栗餡にも似たリッチでほっとする味わいが、シュトーレンには欠かせないと思っています。
時間がたつほどに、ナッツやフルーツの香りが生地にしみ渡って風味が高まるので、味の変化が楽しめるところもシュトーレンの魅力です。そして、生地から滲み出たバターと粉砂糖が合わさって膜のようになった部分は、ちょっとクセになるおいしさです。
お店によってさまざまなレシピでつくられるシュトーレンは、それぞれのお気に入りを贈りあうのもいい習慣だなと憧れます。シュトーレンを知っている人でも、クグロフ型のものは見たことがない方もきっと多いと思うので、贈り物に喜ばれると思います。ちょっと試してみたい方のためにお店ではカットしたものもご用意しています。カットしたものも、さらに3-4枚にスライスして召し上がっていただくのがおすすめの食べ方です。ホールのシュトーレンは、シーズンが近づくと売り切れることも多いので、各店舗でご予約をお受けしています。
お茶の時間や食後のデザートに1切れのシュトーレンを添えれば、少しずつクリスマス気分は高まります。紅茶やコーヒー、夜は甘めの白ワインと一緒に楽しんでみてください。
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