人について 06. Maison romi-unieアトリエ長 かもしー

第6回目は学芸大学Maison romi-unieのジャムアトリエ長、かもしーについてお届けします。

「Personnage romi-unie(ペルソナージュ ロミ・ユニ)」。
“ロミユニの人” と名付けたこのページでは、romi-unieをつくる人=スタッフを紹介しています。

romi-unieにはどんな仕事があって、どんなスタッフがどんな思いで働いているのか、お店の裏側にあるスタッフと働き方のお話です。romi-unieはほぼ100%女子という会社でもあるので、仕事を始めたばかりのスタッフからベテランまでいろんな立場での働き方もご紹介できたらと思っています。

かもしーとは

staff_kamoshi

Maison romi-unieのアトリエ長。東京・八雲のアトリエで、焼き菓子と量り売り・スコーン用のジャムの製造・管理をしています。3年のOL生活を経て、25歳になる年にお菓子の世界へ転職を決意。製菓学校に1年通った後、地元の個人店のお菓子屋さんと横浜の大きなお菓子屋さんで4年ずつ働き、2019年5月にromi-unieに入社しました。趣味はスポーツ観戦と食べ歩き。好きな店のタイプは、作っている人の姿が見えるカウンターの小さな店で、現在、関西方面で行ってみたい店リストを作成中です。

25歳で、昔好きだったお菓子の道へ

OLからお菓子の道へ転職したのは、いま思えば盲腸の手術がきっかけだったのかもしれません。ある日、急にお腹が痛くなって病院へ行ったら、即入院、明日手術ですと言われて、「人生はいつでも簡単に終わりがくるんだ!」とはたと気づいたんです。もちろん盲腸で命を落とすことはないのですが、余命宣告を受けたような気持ちになって、このままやりたいこともせずになんとなく生きていていいのか、と自分の人生を真剣に振り返ったんです。まだ若かったので、1回やりたいことをやってみよう、と昔好きだったお菓子の道に進むことに決めました。

趣味でお菓子をつくることはあっても、仕事にするのはどうかな、と思ってOLになったので、製菓学校にも行ってませんし、お菓子屋さんで働いた経験もありませんでした。とりあえず、製造の仕事ができないか、お菓子屋さんにあたるところから始めました。当然ですが、未経験で製菓学校にも行ってない人に来られても困る、と断られて、いきなりは無理だということに気づきます。たとえ未経験でお店に入れたとしても、プロに混じって本当にやっていけるのか、だんだん自分でも不安になってきて、一回ちゃんと勉強しようと東京の製菓学校に入りました。

「何年くらい働く予定?」

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卒業したのがちょうど震災の年。東京で一人暮らしをしながら、厳しい世界で仕事を続けられるか、自信がなかったので、実家から通えるお店で働くことにしました。お菓子屋さんの面接を受けると、「何年くらい働く予定?」と先に聞かれることが多いんです。最初に入った店でも聞かれて、「4年くらいで一通りのポジションを回れますよ」と言われたので、とりあえず4年は何があっても続けようと、就職しました。

ここでは製造の仕事をしながら、忙しいときは販売にも立って、棚に焼菓子がなくなるとパッケージもやりました。デコレーションケーキのオーダーが入ったら15分で仕上げをするのが店の決まりだったので、その対応もしていました。4年後に横浜の大きなお菓子屋さんに転職したのは、季節のいろんなお菓子を学びたくなったことと、もっとフルーツに触れる機会を増やしたいと思うようになったからです。

横浜の店ではアイスケーキやガレット・デ・ロワなど季節のお菓子をつくったり、季節ごとに様々なフルーツを大量に扱ったり、天才肌の先輩たちの仕事に触れたりと、これまでとはまた違う刺激的なお菓子の世界を経験しました。4年が過ぎて、年齢的に独立して店を持つ人もまわりにいましたが、私は自分で店をやるタイプではないなと感じて、この先の働き方をどうするか考える時期がきました。

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このころには、仕事でフルーツに触れているときが一番楽しくてワクワクすると確信していたので、次は果物にもっと触れられて、国産の稀少な品種や新しい品種の知識も深められるところを、と思って探しました。romi-unieならジャムでフルーツをいっぱい扱うし、お菓子も焼菓子が中心なので、生菓子よりも焼菓子が好きな自分には向いていると思って応募しました。romi-unieの求人は、ジャムアトリエと焼きアトリエで分かれていることが多いのですが、たまたま私が受けたときは、鎌倉のアトリエを両方行き来できる人がいいということだったので、願ったり叶ったりでタイミングもちょうどよかったんです。

シンプルだからごまかしがきかない

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入社前から、romi-unieのお菓子には余計なものが入ってなくて、素材そのものがダイレクトに伝わる感じが好きでした。特に好きだったのはレモンアイシングのかかった「レモンクッキー」。入ったあと、1枚1枚手でアイシングを塗っていると知って驚きました。しかも1日500枚とか。もう少し簡単にできるのかなと思っていたのですが、手間のかけ方が全然違いました。あと、シンプルだからごまかしがきかないものが多いですね。ジャムもペクチンは使わず、果物と砂糖とレモン汁、基本はそれだけです。

 

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今年の4月から半年間、romi-unieのお菓子教室で行っているろみさんのジャムレッスンを研修で受けています。このとき、ジャムにペクチンを入れると、むりやり固めることになるから、食べたときに香りが広がらないという話を聞いて、だからあそこまで徹底して果物と砂糖だけで固めようとしていたんだな、と気づきました。仕事では、製造に必要な情報だけインプットすればいいのですが、教室では商品の背景や作業の「なぜ」といったことも知ることができて、学び直せることがたくさんありました。

それまでの職場はシェフパティシエがドンといて、シェフの指示に沿って動くことが多かったのですが、いまは違います。ろみさんや商品開発のいずみさんから、こういうお菓子ですという最初の説明はありますが、常にシェフがいて見て回ることはありません。指示待ちで動くのではなく、ひとりひとりが商品をきちんと理解して、目指す仕上がりに向けて、考えながら動かないと回っていかない職場だなと感じます。個々に判断が任されている部分が大きいんです。

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たとえば生地を仕込むとき、いつもと同じ作り方だと危険な日もあります。暑くなってきたから、卵の量を調整しようとか、状態を見て判断するのですが、そこを日々、個人が感じとって調整していきます。数字は目安として大切ですが、鎌倉と東京では気温や湿度も違うので、絶対ではないんです。これまでより自分で考える力が求められるなと感じています。

アトリエ長としての役割と責任

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入社して1年ほどは鎌倉の焼きアトリエで働いて、その後ジャムアトリエで1年。昨年7、8月はジャムアトリエと八雲のアトリエを半々で行き来していました。9月からは八雲の専属になって、今年1月からアトリエ長なりました。

八雲のアトリエでは焼菓子と量り売り用のジャムの製造に加えて、サブレを1枚ずつ個包装するパッケージ作業やromi-unieメイツ(ジャムや焼菓子の定期便)の発送業務もやっています。コロナ禍にWeb shopの売り上げが増えたことで、何度かWebパッケージのお手伝いにも行ったのですが、製造以外の部署でどんな風に仕事をしているのか、つくったものがどのようにお客様に届けられているのかを知ることができて、いまの発送業務にとても役立っています。

 

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アトリエ長になってからは、通常業務に加えて、週単位と月単位の製造計画を立てたり、スタッフのシフト管理、事務仕事、製菓材料屋さんへの発注から店のメンテナンス業者さんまで外部の方々とのやりとりも対応しています。新しいお菓子を初めてつくるときは、商品開発のいずみさんからサンプルとレシピが届くので、最初は少量で試作して、次に多めに仕込んでと二段階で最終の微調整もやっています。失敗はできないので、責任重大です。

romi-unieでは、定番と季節商品のほかにも「気まぐれ」をスポットで出しています。材料にロスが出ないよう「いま、この材料があるからこんなお菓子がつくれそう」とこちらから販売さんに提案したり、逆に販売さんから「定番商品の在庫が少なくなってきたから、気まぐれがあるといいかも」と相談があったり。コミュニケーションをこまめにとって、お客様にいつもとちょっと違う商品を手にとっていただけるようにしています。フィナンシェのように焼くと安定して売れる商品もあって、気まぐれにもファンの方がついてくださっているものもあるんです。

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気まぐれは、お店のレシピファイルの中から引っ張り出してつくっています。パウンドケーキだけでも分厚いファイルがあって、いまある材料で何が作れるだろう、と探すところから始めます。他にもイベントやコラボ商品の製造もあって、ついこの間は「オルネ ド フォイユ」さんのネコサブレも八雲のアトリエで担当しました。

次から次へと新しいお菓子づくりがやってくるので、入って3年過ぎたのですが、一通りやったな、という感覚はまだないですね。romi-unieのお菓子を全部つくるには、何年くらいかかるんだろう……そう考えると、私はまだ走り出したばかりなんだな、と思いますね。

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