Atelier ICHIMARU三浦さん:紅茶とお菓子のペアリング

「Cahier de Romi」2回目のお相手はCHA YUANの日本総輸入販売元、Atelier ICHIMARUの三浦 朋世さんをお迎えして、CHA YUANの紅茶とromi-unieの焼き菓子のペアリングについてのトークをお届けします。

フランス・リヨンに本店のあるお茶専門店CHA YUAN(チャユアン)は、romi-unieが2004年にオープンしてからずっとお付き合いを続けているティーブランド。ポエティックな世界観を持つCHA YUANのフレーバーティーを、フランスの空気ごと届けてくださるのが、仙台にあるAtelier ICHIMARU(アトリエ イチマル)の三浦朋世さんです。

CHA YUAN(チャユアン)

ゴールデウィーク初日の4月29日、鎌倉のアトリエ ビスで、「春のCHA YUAN TEA CLUB」を開催しました。当日は、CHA YUANのフレーバーティーとromi-unieのお菓子を組み合わせたペアリングセットも初登場。対談はそのメイキングストーリーから始まりました。(二人の写真は3月に仙台のOGATAYAMAで撮影させていただきました)

 

小説や映画に通じるフレーバーティーの愉しみ

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ろみ 鎌倉のイベントの前に、三浦さんとは、仙台でお茶とお菓子のイベントをやらせていただきました。わたしはメルシーケイク(レモンのケイク)とメゾンセット(6種のサブレ)をお持ちして。

三浦 お茶は12種類くらい用意して合わせましたね。そのなかから、メルシーケイクとサブレに合うフレーバーティーを最終的に2種類ずつ選びました。

ろみ フレーバーティーは複雑でお菓子と合わせるのが難しいと考えている方も多いと思うのですが、実際に食べて飲んで合わせていくうちに、共通して感じることはありましたよね。

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三浦 CHA YUANのフレーバーティーは紅茶ベースのほかにも緑茶ベースや烏龍茶ベースがあるのですが、今回は烏龍茶の香ばしさが焼菓子に合うということがよくわかりました。あと柑橘系も合わせやすかったですね。

ろみ 昔、三浦さんがお勤めになっていた仙台の「ノートル・シャンブル」(現在は閉店)で初めてCHA YUANを知ってから、もう20年ほど飲んでいますが、フレーバーティーは、小説を読んだり、映画を見ている気分に通じるものがあるなー、といつからか思うようになりました。香りが別世界の扉を開けてくれて、空気の流れまで変わる感じがします。お茶にポエティックなタイトルがついているのもいいですね。

三浦 CHA YUANは創業が1990年で、お茶のブランドとしてはまだ若いんです。でも、だからこそ、女性のオーナーが立ち上げられたのだと思いますし、ポエティックなフレーバーティーの世界観も生まれたのだと思います。

ろみ 今回のペアリングセットに選んだお茶から、少しずつフレーバーティーの世界をひもといていきましょうか。

 

〈テーマ1〉メルシーケイクに合うフレーバーティー
〈テーマ2〉メゾンセットに合うフレーバーティー
〈テーマ3〉二人の推しのフレーバーティー

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〈テーマ1〉メルシーケイクに合うフレーバーティー

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お菓子 「メルシーケイク」
紅茶 「ブリュム ド ソワール(夕霧)」(烏龍茶ベース)/「グールース セット アグリュム(7つの柑橘の香り)」(紅茶)

 

レモンの爽やかさがヒューッと突き抜ける

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ろみ メルシーケイクは、いつも母の日向けにつくっていて、とても好評なので、今年は3月からスタートして、母の日のあともしばらく販売を続ける予定です。レモンコンフィを入れた生地にレモンのアイシングをたっぷりかけたマーガレット型のケイクで、黄色い花形のマジパンをのせて仕上げています。

三浦 メルシーケイクというネーミングが、ろみさんぽい。

ろみ 10年くらい前からつくっていて、形は変わってきているんです。アイシングも黄色の時代があったり、マジパンのデザインもいろいろと変化して、ようやくいまの形に落ち着きました。

三浦 仙台のイベントのとき、ブリュム ド ソワール(以下ブリュム)との相性をとても気に入ってくださっていましたね。

ろみ ブリュムと合わせたときの突き抜け感というか、レモンとマッチして、ヒューッと爽やかさが突き抜けたんです。ベースの烏龍茶が、バターの風味をしっかり引き出してくれて、メルシーケイクの味わいが全体的に増幅されたんですよ。

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三浦 烏龍茶に柑橘とレモングラスが入っているので、お茶だけで飲むとすっきりとしているんです。

ろみ フレーバーティーと聞くと、香りがお菓子の邪魔をするんじゃないかと心配する人もいると思うのですが、CHA YUANさんのお茶は、おいしいお菓子がさらに華やかになるという実感が毎回あります。

三浦 より彩りを添えるというか、ハッとする組み合わせがありますよね。ばっちり合ったときほど、コレ!とわかる。ブリュムはレモングラスの爽やかさがお菓子のなかにあるレモンを後押しする感じがしますね。

 

ひとくちに柑橘系といっても方向性が全然違う

ろみ もう一つのグールース セットアグリュム(以下グールース)はメルシーケイクと合わせるとまとまりの良さが際立って、なかよしな印象でした。

三浦 ブリュムのほうにはビター感があって、グールースは明るめで華やか。同じ柑橘系でも方向性が全然違うんです。ブリュムとグールースはそれぞれ、烏龍茶と紅茶という茶葉の違いもあるので、この2つを飲み比べるのも面白いと思います。ひとくちに柑橘系のフレーバーティーといっても幅があるということに気づいていただけると思います。

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ろみ フランスではグールースというお茶はアールグレイと同じくらいよく見ますね。

三浦 そうなんです。アールグレイと同等に扱われるくらいメジャーなお茶で、グーが味とか風味、ルースがロシアなので、「ロシア風味」という意味なんです。

ろみ アールグレイはベルガモット単体で香りづけしてあるのに対して、グールースは広く柑橘系というイメージがあります。ロシアだといちごとかベリー系のイメージが強いので、レモンやグレープフルーツなど7種類の柑橘を使っているのは意外でした。

三浦 ロシアはアジアに近いという立地もあって、フランスやイギリスよりお茶についての歴史が深く、欧州紅茶の元祖の国とも言われています。実際、ロシアは世界でいちばんお茶を輸入している国なんですよ。サモワールという伝統的なお茶の道具もありますしね。

ろみ イギリスからアールグレイが入るまで、フランスではグールースが先に飲まれていたのかもしれませんね。ちょっと歴史が気になってきました。

 

〈テーマ2〉メゾンセットに合うフレーバーティー

お菓子 「メゾンセット1」
※サブレ6種(レモンクッキー/ショートブレッド/バター・ガレット/ディアマンショコラ/サブレ・コンプレ/サブレ・ド・ブーランジェ)
紅茶 「アールグレイ インペリアル(皇帝のアールグレイ)」(紅茶)/「パヴィロン スゥ ラ リュンヌ(月下の小屋)」(烏龍茶ベース)

 

まろみのあるアールグレイ

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ろみ フレーバーティーのなかでも柑橘の香りは鉄板で、なかでもアールグレイは王道です。焼菓子にフレーバーティーを合わせるときは、アールグレイというところが多いですよね。でも、CHA YUANのアールグレイ インベリアル(以下アールグレイ)は全然違うんです。香りも上品で、飲み心地や余韻がとてもきれい。

三浦 白茶の白毫銀針(はくごうぎんしん)というシルバーの茶葉がブレンドされているので、中国茶にもちょっと似た余韻がありますね。まろみがあるというか。

ろみ まろみ、あるある。

三浦 アールグレイはシャープな方向でブレンドされているブランドが多いなかで、このまろみって他にはないんだなーと最近思います。各ブランドのアールグレイを改めて飲み比べてみると、うちのは主張が弱いわけではないけれど、激しいわけでもなく、じんわり丸くて、実(じつ)がしっかりあるという感じ。

ろみ お茶好きの方でromi-unieにアールグレイ狙いで定期的に買いに来てくださるお客様がいらっしゃいます。

三浦 うれしいですね。

ろみ 一度CHA YUANのアールグレイを飲むと、他のブランドのものに行けないんだと思います。もう、戻れないというか。

三浦 どこでも買えるお茶なのに、なぜうちにわざわざ来て買ってくださるのかな、と思って時々、「アールグレイがお好きなんですか?」と聞いてみたりするんですけど、「ここのアールグレイが好きです」って言ってくださったときは、心の中で「よしっ」となりますね。

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ろみ よそのが苦手でも、CHA YUANのアールグレイを飲んだらおいしいと思う人は多いと思います。今回、いろんな味わいのサブレがあるなかで、どれがいけるだろうと探しているときにアールグレイはダントツでしたね。レモンクッキーはもちろん、とにかくどのサブレにも合って、優等生すぎる!

三浦 包容力がありましたよね。

ろみ お茶の味としてもいろんな人に気に入られる味でありながら、お菓子に合わせても揺るがない王道感がありました。

 

分析する愉しみ&ドリーミー感

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三浦 パヴィロン スゥ ラ リュンヌ(以下パヴィロン)は烏龍茶をベースに桃とオレンジフラワーのフレーバーを加えたお茶です。

ろみ お茶だけで飲んでいたときは、オレンジフラワーのほうがわたしのなかでは強いと思っていたんですが、合わせるものによって出てくる香りが違うことに驚きました。

三浦 CHA YUANのお茶は複層的に香りが重なっているので、合わせるものによって、桃が立つこともあれば、オレンジフラワーがすごく抜けるときもあったりと、お茶の表情が変わるので、組み合わせを楽しんでいただけるかなと思います。

ろみ ベースの烏龍茶の風味が、サブレの香ばしさやコクを引き立てていましたよね。そこにオレンジフラワーの香りがノスタルジーさを添えていく感じも良かった。サブレ・コンプレと一緒に合わせたときは、全粒粉とバターのコクに加えてきび砂糖の風味が一段と広がって、特に印象的でした。こうして、ひとつひとつの香りを分析していく楽しみもありながら、トータルで飲んだり食べたりしたときのドリーミー感もCHA YUANのお茶のよさですね。いつもの日常から、ちょっと夢見心地な気分に誘われる。和名の「月下の小屋」というタイトルもロマンチックですよね。

三浦 パヴィロンが小屋で、リュンヌは月なのですが、オレンジフラワーの花びらが三日月に見えて、そこから想像を広げてこの名前になったのかな、と思っています。フランス語だとおぼえにくいものも多いので、和名でおぼえていただいているお茶も多いですね。

 

〈テーマ3〉二人の推しのフレーバーティー

三浦「コンポジション ドゥ シエル(空の構成)」(紅茶)
ろみ「ロータスブル(蓮の青)」(紅茶)

 

ブーケを束ねるように香りを束ねる

ろみ うちでは、CHA YUANのお茶を7種類ほど置かせていただいていますが、何種類くらい輸入していらっしゃるんですか。

三浦 いま27種類輸入していて、今後30種までは増やしたいと思っています。フランスにはアニスのお茶などもっとパンチの効いたフレーバーティーもあるのですが、日本の方に飲みやすいものを選んでいます。

ろみ いくつか、終売になったものもありますよね。シャンパンの香りのお茶とか復活してほしい。

三浦 フランスの本店が終売にしてしまったのですが、復活の道も探っていきたいですね。

ろみ ところで三浦さんがCHA YUANの入り口としておすすめしているフレーバーはどれですか?

 

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三浦 やっぱり「コンポジション ドゥ シエル(空の構成)」かな。
一番人気のあるシグネチャーブレンド的立ち位置のお茶で、キャラメル、バラ、オレンジフラワー、すみれと重奏的でフランスのエスプリを感じる味です。ブーケを束ねるように香りも束ねてあるので、どこからほどくかで立ってくる香りが違ってきたり、お菓子とのマリアージュでもフォーカスをどこにするかで印象が変わってきます。嫌いな人はいないんじゃないかな、というフレーバー。香りの優雅さだけでなく、茶葉にはバラとオレンジフラワーが入って見た目の美しさの点でもCHA YUANらしさがあります。ろみさんは「ロータスブル(蓮の青)」なんですよね。

ろみ はい。お菓子の風味も広がりつつ、紅茶の風味も増幅して、焼菓子やチーズケーキには特におすすめです。自宅にも常備していて、これからの暑い季節は水出しでも楽しめるので、一年中外せません。

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三浦 ラベンダーといちごに矢車菊、はちみつがやさしく香るお茶ですね。水出しは1Lの水に15gの茶葉で一晩置くのがおすすめです。

ろみ どちらもromi-unieでは人気のフレーバーティーで、定番になっています。ギフトに選ばれる方も多いですね。ちょっとスペシャルな感じがするので。

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三浦 今日イベントに来てくださったお客様も、友人や知人からプレゼントされて飲んだらおいしかったので、ここで買えると聞いて来ましたという方がいらっしゃいました。ほかにも、romi-unieのお菓子教室で飲んでとか、カフェで飲んで知ったというお話もよく聞きます。

ろみ それにしても、お茶好きの方がいっぱいいらっしゃると楽しくなっちゃって。なんだろうこの気持ちって。「お茶っておいしいですよね!」という同士感が湧いてくるというか。

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三浦 今日はみなさん、「本当にご自宅用ですか?」というくらいたくさん買ってくださって、待っていてくださったんだなと感じました。

ろみ こういう大大的な茶葉のイベントは18年のお付き合いのなかで、初めてのことでしたしね。季節によってもお茶は感じ方が違ってくるので、これから夏、秋と季節ごとにこうしたイベントを企画していけたらと思っています。

三浦 はい。ぜひ、また呼んでください。楽しみにしています。

 

紅茶と焼き菓子のペアリング対談、いかがでしたでしょうか。フレーバーティーと焼き菓子の組み合わせのおもしろさや楽しみ方の参考にしていただけるとうれしいです。

今回の対談でご紹介した紅茶と焼き菓子のペアリングセット2種類を通信販売Web Shopで販売することになりました。CHA YUANのポエティックなフレーバーティーの世界とromi-unieの焼き菓子の組み合わせをご自宅でお楽しみください。

5月17日(火)12時より販売をスタートいたします。Web Shopでの販売についての詳細は「TEA CLUB -紅茶とお菓子のペアリングを楽しむセット-」ページでご覧いただけます。

 
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