15.春の訪れを告げるジャム「Sakura(サクラ)」

春の鎌倉は、鶴岡八幡宮まで続く段葛(だんかずら)のさくらがとてもきれい。この季節にさくらの何かをつくりたいと思って始めたのが「Sakura」です。もう20年以上つくり続けて、春の定番になりました。ご自宅用だけでなく、季節のご挨拶にこのジャムを選んでくださる方も多いので、贈答用のボックス入りでもご用意しています。


お花のジャムをつくるときは、りんごのジュレづくりから始めます。皮も芯も付いたままのりんごをカットして、ひたひたの水で煮ていくのですが、ジュレはきらきらと光る透明感も大切。果肉を全部つぶすとにごりの原因になるので、つぶしきらないくらいで煮るのがコツです。

ペクチンとエキスがじゅうぶん水に溶け出したら布でこします。そのあともまた煮詰めて、レモン汁とお砂糖を加えると、溶けこんだペクチンが反応してぷりっとしたジュレができあがります。りんごを煮る時間が足りないとペクチンが出きらないし、お砂糖を加えてから煮詰めすぎると、飴っぽい味になって、りんごのフルーティーさが弱まってしまう気がして、その合間をとらえるのは毎回むずかしい作業です。でも、そのむずかしさがジュレをつくる面白さでもあります。ちゃんと固まるか、いつもドキドキしながらやっています。

ジュレができたら、塩抜きしたさくらの花を加えます。ジャム一瓶のなかに、さくらの花は20個くらい。さくらは花びらの根本の額から強い香りが出るので、あまり強くなりすぎないよう、花びらを摘んだものと、額つきの丸ごとのものを両方加えて、やさしく香るようにバランスをとっています。さくらの花の蜜を直接味わうことは叶わないけれど、幼い頃、つつじの花をチュッと吸ったときの、ほの甘くて、でもお花の香りもする、そんなイメージに仕上げました。合わせるものは、リコッタチーズを一番におすすめしているのですが、ヨーグルトやトーストでもいいし、やわらかい食パンにしみこませるように付けるのもいい感じです。

フランスでは、果物のエキスをベースにしてつくる「ジュレ」というカテゴリーがジャムのなかにあって、りんごをはじめフランボワーズやグロゼイユなどでもつくられます(ロミ・ユニでお正月にお出ししている「ボナネ」はグロゼイユのジュレがベースです)。果肉がゴロゴロしたジャムに慣れていると、ジュレは具なしに見えて、物足りなく感じるのか、日本では手が伸びない方もいらっしゃるようです。するっとして透明感があって、清らかな味わいは体験してみないとわからないおいしさ。Sakuraは、ジュレのよさを知っていただく入門編としてもおすすめです。

ライン

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