レモンクッキーの生地を丸く抜いたあと、型と型の間に少し広めの一番生地が残ります。その生地を無駄なく有効に使いきれないか……という思いから、小さなサブレ型で抜いたのがプチ・パレのはじまりです。製造をしばらく担当していると、せっかくきれいにのした一番生地を、余ったからといって、くしゃくしゃにするのはもったいないという気持ちが芽生えてくるんです。
もともと、そんなに数ができるお菓子ではないのと、味やビジュアルに大きな特徴があるというわけでもないので、「あれが食べたい!」と買いに来られる方は、多くないと思っていました。ところが、romi-unieに来たら、子供用にこれを買っておこうというお母さんが予想外に多く、ないとがっかりされることがだんだん増えてきて、3年ほど前から、定番になりました。いまは、プチ・パレ用に生地を仕込んでつくっています。
もうお気づきかと思いますが、プチ・パレはレモンクッキーと同じ生地でつくっています。厚さと大きさが違うので、印象は違って感じますが、どちらもフランス菓子でいうところの基本中の基本の生地、パートシュクレがベースです。romi-unieでは、フランス産小麦と発酵バター、粉糖でつくっています。水分の少ない生地なので、砂糖は溶けやすい粉糖がちょうどいいんです。ほどけるような、もろく崩れやすい軽い食感が生まれます。
材料がシンプルで、素材の良さがしっかり感じられるお菓子は、ひっそり売っていても、皆さん気づいてくださいますね。何回食べても飽きないのだと思います。お母さんが買って行かれるのもすごくよくわかります。小さいときから知っていたほうがいい味だと、わたしも思います。
素朴でシンプルなサブレは、ジャムと一緒に楽しんでいただくのもおすすめです。レモンカードをプチ・パレにのせれば、フランス菓子のレモンタルトとまったく同じ構成になって、口の中でタルトシロトンが完成します。キャラメル系のジャムも、間違いなく相性のいい組み合わせです。ショコラショーにプチ・パレの組み合わせも、寒い季節にはぴったりです。