13.栗そのものを感じる、ロミユニならではの「タルト オ マロン」

今回のお話はromi-unieの秋の人気者「Tarte aux Marrons(タルト オ マロン)」について。

マロンタルトは、モンブランのようにクリームをたっぷり絞った生菓子っぽいタイプもあれば、渋皮煮や甘露煮をたっぷりのせた焼き菓子系もあって、人によってイメージする形が結構分かれるお菓子。romi-unieのタルト オ マロンは、そのちょうど中間と言っていいかもしれません。レシピが決まったとき、うちらしいおもしろいタルトができたと思いました。

外側の生地は、フランス菓子でもっとも基本的なパートシュクレ。中にはアーモンドクリームとマロンペーストを合わせたものを敷き込んで、渋皮煮をトッピングして焼いています。

マロンペーストはでんぷん質を含んでいて、アーモンドクリームは火を入れると生地っぽい食感になるので、このふたつを混ぜて焼くと、中のマロンクリームはふんわり、しっとりとした焼き上がりになります。マロンクリームはクリームと言っても、生クリームやカスタードクリームみたいなトロッとした感じではなく、目の詰まったパウンドケーキのような食感。実はromi-unieのマロンタルトで主役にしたかったのは、このマロンクリームの部分なのです。

マロンクリームを思う存分味わえるように考えたレシピなので、渋皮煮はどちらかといえば箸休め的な存在。一人分に1粒あれば十分。焼き菓子タイプのマロンタルトには、栗がゴロゴロたくさん入ったものが多いので、初めて見た方は、「栗が少ない!」という印象を持たれるかもしれませんが、そういう理由があるんです。

マロンクリームにはフランス産のマロンペーストを、渋皮煮には和栗を使っています。同じ栗でも、フランス産と和栗では風味がまったく違います。混ぜてしまうと個性がぼやけてしまいそうなので、それぞれのよさを生かします。

和栗はお酒の香りや油分で繊細な風味を覆わないよう、栗そのものの味が感じられる渋皮煮にしています。

バターやクリームと相性のいいフランス産のマロンペーストは、バニラの香りもあって、ラム酒が入ると、さらに栗の風味が引き立つので、仕上げのアイシングに加えています。ラム酒の香りとマロンクリームが口の中で重なると、ひと口で「秋が来たー!」と感じさせてくれます。

店頭では毎年9月上旬からカットしたタルト オ マロンが並びます。お供は温かい紅茶かミルクティー、ほうじ茶もいいですね。

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